オートバックスなどのカー用品店でオイル交換をお願いすると、必ず「エンジンフラッシングはいかがですか?」と聞かれます。
お店の人に説明してもらうと、「やっぱりした方がいいのかなぁ」と思う方も多いと思います。
ではこのエンジンフラッシング、何をしていてどんな効果があるのでしょうか。
エンジンフラッシングはやるべき?
- ディーラー等で車検をしっかりと実施されているのであれば、正直必要性はない(しかし、乗り方や環境にもよる)
通勤や買い物、レジャーなどの通常の使用で、3年に1回もしくは2年に1回の車検をディーラーなどでしっかり実施されているのであれば、正直必要性はありません。
ひと昔前のエンジンと違い、エンジンの性能も向上しており、燃焼室の機密性や、燃料噴射のタイミングなどもきめ細かく制御され、燃焼効率が高くなっています。
ガソリンエンジンには理論空燃比というものがあり、ガソリンが燃えるために必要な空気量が決まっており、空気が多すぎると燃料が薄くなってしまいリーン状態に、空気が少なすぎると逆に燃料が濃くリッチ状態になります。
燃料が濃すぎる状態で運転が続くと完全燃焼できずに「すす」が発生します。
このすすが、エンジン内部を汚すのです。
ひと昔前までは現在ほど細かい制御ができなかったので、不具合を避けるために基本的にリッチ状態で制御されていました。
理論空燃比で制御すると、運転負荷や外気温の変化があると失火してしまう可能性があるからです。
少し話が脱線してしまいましたが、現在のエンジンでは、制御の応答性が向上したので、リッチ状態で制御する時間が短くなっています。
そのため、エンジン内部の汚れも抑えることができています。
またエンジンの制御だけではなく、エンジンオイル自体の質も向上しており、フラッシングオイルとまではいきませんが、洗浄力があるので通常の使用であれば、そこまでナーバスになる必要はありません。
エンジンフラッシングが必要な場合もある
- 長期間エンジンをかけなかった場合
- エンジンオイルの交換が距離に対して極端に少ない場合
上記の場合、オイルに汚れが大量に混ざっているので、エンジンオイルの全量交換という観点からもフラッシングをお勧めします。
長期間エンジンをかけていない場合
長期間エンジンをかけなかった場合は、エンジンオイルが乳化してドロドロになってしまいます。
エンジン内部に存在する空気が、温度変化により結露してしまい、水とオイルが混ざってしまいます。
この場合は完全に古いエンジンオイルを抜き切って、新しいオイルを補給する必要があります。
エンジンオイルの交換が距離に対して極端に少ない場合
またエンジンオイルの交換が距離に対して極端に少ない場合は、オイルフィルターに汚れが溜まりすぎてろ過できなくなってしまいます。
オイルフィルターに汚れが溜まり、スムーズにオイルが流れなくなると、バイパスバルブがオイルの圧で開けられます。
詰まりによる潤滑不足を防ぐための装置ですが、そうなると、エンジンはオイルフィルターを通過せずに再度エンジンの潤滑に回されます。
そうなると、エンジン全体に汚れが拡散してしまうことがあります。
エンジンフラッシングの料金
- フラッシングオイルのみであれば相場としては工賃込で3,500〜4,000円
- チェンジャーなどのマシンを用いて行う場合だと、5,000〜6,000円ほど
あくまでも一例で、バラつきがありますので、実施をお願いする店舗へ事前に料金を確認しましょう。
エンジンフラッシングとは
- フラッシングオイルでエンジン内部を洗浄すること
エンジンフラッシングとは、フラッシングオイルという洗浄剤が添加してあるオイルでエンジン内部を洗浄することです。
エンジンオイル交換作業で、古いエンジンオイルを抜いた後に一度フラッシングオイルを補充。
エンジン内部の隅々までフラッシングオイルを行きわたらせた後に排出し、新しいエンジンオイルを補充します。
フラッシングオイルはエンジン内部に堆積してしまう、スラッジやカーボンを除去する成分が添加されています。
フラッシングオイルを使うことだけがフラッシングではない
- オイル交換の際、新しいオイルを補充→5分ほどアイドリング→抜く→再度新しいオイルを補充して完了、これだけでもエンジンフラッシングになる
一度のオイル交換では、完全に古いオイルを抜き切ることはできません。
なぜなら、普通にオイルを抜いただけでは、エンジン内部の隙間や溝にたまっているオイルを抜くことができないからです。
先ほども軽く触れましたが、しっかりオイル管理ができていれば、汚れに関して気にする必要はありません。
数万キロに一度、オイル交換の際に新しいオイルを補充し、5分ほどアイドリングをさせ、すぐに抜いてしまいます。
そして再度新しいオイルを補充して完了です。
これだけでもエンジンフラッシングになります。
オイルを補充し、アイドリングさせることにより、隙間や溝にたまったオイルが新しいエンジンオイルで流れます。
超高級なエンジンオイルを使わなくても、いいのです。
安いエンジンオイルでも、定期的になエンジンオイル交換を実施、先ほど説明したフラッシングをすれば、エンジンの内部はきれいな状態を保つことができます。
エンジンの稼働時間が短いハイブリッド車であればなおさらです。
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まとめ
- エンジンの性能を維持するためにエンジンフラッシングは効果がある
- 定期的にディーラーでしっかりと点検を実施しているのであれば不要(しかし、使用環境にもよる)
- オイル交換の際に新しいオイルを補充→5分ほどアイドリング→すぐに抜く→新しいオイルを補充、これだけでもエンジンフラッシングになる
- フラッシングオイルのみであれば相場としては工賃込で3,500〜4,000円(マシンを用いて行う場合だと、5,000〜6,000円ほど。一例であるため、実施する際は事前に店舗へ確認)
フラッシングをせずとも定期的にメンテナンスや点検を行っていれば、エンジン内部はきれいな状態を保つことができるのです。
最後に注意ですが、フラッシングオイルを入れたまま走行するのは絶対NGです。
粘度が低いので車種によっては焼き付きが発生してしまったり、オイルの流路に汚れが溜まる確率が高くなります。
もちろんエンジンオイルフィルターも定期的に交換する必要があります。
定期的に点検を実施し、快適なカーライフを送りましょう。