ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなど、内燃機関は燃焼室で燃料と空気が混ざった混合気を燃焼させ、燃焼エネルギーを動力として使用しています。
ガソリンエンジンの場合、エンジンが一番効率良く運転できるのはエンジン冷却水温が80℃付近の状態といわれています。
しかし、それ以上に温度が上がってしまうと、エンジンオイルの潤滑が悪くなりエンジンが焼き付いたり、オーバーヒートしてしまい冷却水が噴出してしまいます。
車が常に走行していれば走行風で冷却されますが、しかし停車中はどうでしょう。
信号待ちや荷下ろし、ちょっと人を待っていたりと停車した状態でエンジンを掛けたままというシチュエーションも多いと思います。
そんな停車中でもエンジンを冷却する必要があるため、冷却水を冷やすラジエータとラジエータファンというものが自動車には付いています。
ラジエータファンはクランク軸から動力をファンベルトを用いて受け取ります。
今回はこのラジエータファンを駆動する、ファンベルトの交換費用について説明していきます。
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ファンベルトの交換時期は?
- 駆動系と違い、走行距離で判断することは難しい
- 「きゅるるる~」という異音が生じてくると劣化を発見するシグナル
駆動系は走行した分、負担が掛かりますが、ファンベルトの場合はエンジンが掛かっていれば、常に動力を伝達しています。
ファンベルトはエンジンが掛かっている間は、常にプーリーとともに回転しています。
エンジンの回転数に応じてファンベルトを駆動しているため、急激な伸びや縮みを受けいています。
この急激な伸びや縮みにより、ベルトが伸びてしまいます。
また経年劣化によりベルトの溝が浅くなったり、ひび割れや亀裂、損傷が生じます。
まず、伸びが始まると「きゅるるる~」という異音が生じます。
この音はプーリとベルトが滑っている証拠です。
急激なエンジン回転変動があると音がなりやすいので、エンジンの始動時や停車から加速する時に聞こえやすいです。
この音が劣化を発見する大切なシグナルとなります。
これに気付かずそのまま使用した場合、伸びが進み音が大きくなるばかりか、ファンをうまく駆動できなくなるため冷却効率が低下し、最悪の場合オーバーヒートとなってしまいます。
ファンベルトがオルタネータの駆動も兼ねている場合は、発電されずバッテリー上がりとなってしまうことにもなります。
オルタネータが駆動されないことによって、発電されなくなってしまいますが、いきなりエンジンは止まりません。
バッテリーの充電を使用しながら運転することができます。
オルタネータに何らかのトラブルが発生して発電されなくなった場合は、メーター内にバッテリーの警告灯が点灯するので、焦らずに安全な場所へ移動させてください。
エンジンが停止すると再始動することができません。
定期的にエンジンルームを覗いて、点検することも重要です。
ヒビや亀裂が確認された場合は、早急に交換することをお勧めします。
最悪の場合、突然ベルトが切れてしまい冷却されなくなり、オーバーヒートを起こします。
また、発電されないばかりか、切れたベルトが他の回転物に巻き込まれてしまい、修理代が増えてしまう場合もあります。
交換費用は?
- 1万円程度
- 車種によって幅があるので、事前に部品代と作業工賃の見積もりを依頼することを推奨
ファンベルト自体の値段はそこまで高くなく、3,000~5,000円と考えておけば、十分足りるでしょう。
作業自体もそこまで難易度が高いものではありませんので、工賃も5,000円程と仮定し、10,000円程度あれば問題ないと思います。
まれにオートテンショナーを用いている車両があります。
テンショナーの不具合の場合は料金が変わってきます。
また、自分の車両の仕様を確認することができれば、自分で部品を買うことができます。
自分で購入し、持ち込みで作業してもらうことで、さらに費用を抑えることができる場合があります。
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どこが安い?
- ディーラーよりも部品量販店などの方が安い傾向にある
- 信頼性を重視するのであれば正規ディーラー
やはり、ディーラーよりもカー用品店や町工場にお願いした方が安いようです。
また、知識がある方であれば、自分でファンベルトを購入し、持ち込みで交換作業してもらうと、万が一在庫切れの場合でも早急に対応してもらえます。
しかし一長一短で、補器類が多いエンジンなど複雑な手順が必要になる車両の場合は、ディーラーの方が作業が早い可能性があります。
ディーラーには整備手順書があるので、正しい手順で作業することが可能です。
ディーラーが用いる交換部品はメーカー純正品であったり、メーカーが認めたサプライヤーの物であるので、その点でも信頼性は高いです。
作業や物の信頼性を重視するのであれば正規ディーラーへ依頼することをお勧めします。
まとめ
- エンジンの始動時や停車から加速する時に「きゅるるる~」という異音が生じてきたら劣化を発見する大事なシグナル(交換時期の可能性がある)
- ファンベルト自体は3,000~5,000円、工賃が5,000円前後(車種によって若干違いもあるので依頼する際は確認する)
- 安く済ませるならディーラーよりも町工場や部品量販店が安い傾向にある(作業や物の信頼性を重視するのであれば正規ディーラーへ依頼)
最近の乗用車では、ラジエータファンが電動化されモーターにより駆動されるようになりましたが、ファンベルトを用いている車両もまだまだ現役で走行しています。
一見ファンベルトに関わりのないように感じるバッテリー上がりも、ベルトの滑りによる発電不足の可能性もあり得ます。
オーバーヒートのみならず、ほかの性能にも影響する重要な部品ですので、エンジンルーム内の点検も積極的に行い、トラブルを未然に防ぎましょう。