日本国内には国産・輸入車を合わせるとさまざまなメーカー・車種が、運輸局に登録されています。
世界的に見ても日本は数少ない車検制度導入国であり、その延長として法定点検が義務付けられています。
自家用自動車であれば車検は2年に1回受けなければ自動車を使用することはできません。
新車初回車検だけは3年ですが、車検ばかりに意識してきちんと定期点検を行っている車両が少ないというのが実情です。
法定12カ月点検の目的
定期点検のことを、正式名称として「法定12カ月点検」と言います。
貨物車やレンタカーの場合は法定点検のサイクルが6カ月となっているため、貨物車の場合は法定6カ月点検となります。
6カ月ごとの点検を必要とする車両と自家用自動車では点検項目が異なります。
冒頭でも触れましたが、車検制度の影に隠れて法定点検を行われている車両は日本国内の自動車保有台数に比べて実に少ないです。
車検制度の本来の目的は言うまでもなく当該自動車が保安基準に適合し、安全に一般公道を走行することができるかを検査する制度です。
法律的にも車検時には法定24カ月点検を同時に行うものとし、法定12カ月点検と並んで大切な点検のタイミングです。
使用する方によって月間走行距離は異なりますが、およその目安として1年に1回は自動車の点検をしなければいけないと定められています。
そのため車検時に法定24カ月点検を受け、それから1年後に法定12カ月点検を受けるよう決められています。
ただし、明らかに年間走行距離が多い車両の場合は点検サイクルを短くすることを推奨されています。
法定12カ月点検という名称にはなっていますが、点検を受けることはいいことですので何回受けても構いません。
年間走行距離が多い車両もそうですが、大型連休前などに遠出する前に点検することを各事業所ではユーザーに対して推進しています。
自家用車の場合、車検のように受けなければ使用できなくなるなどの明確な不都合がないために昨今は点検を受ける車両が減少しています。
今一度、ユーザーは定期点検の重要性を認識するべきだと思います。
法定12カ月点検の概要
前項の解説のように、実際の実施率こそ低いものの定期点検は非常に重要です。
日本国内の整備事業者は整備振興会で定められた点検項目を基本として、点検入庫した車両を1台1台整備しています。
それに加えて、各事業所ごとにオリジナルの点検項目を追加して行っている場合もあります。
法定12カ月点検は灯火関係・エンジンルーム・タイヤ・足回り・下回りの点検を基本点検としています。
灯火関係
まず灯火関係ですが、これはいわゆるライト類です。
ヘッドランプ(ロービーム/ハイビーム)・ウィンカー・フォグランプ・車幅灯・ナンバー灯・ブレーキランプ・バックランプなどの点検を行います。
この時に球切れが見つかればユーザーに対してバルブの交換を促します。
この点検作業を事業所で行う際は、車内で操作する人と車両をチェックする人に分かれて点検します。
ですので、この流れで操作する人がワイパーの作動・ウォーシャー液の出・ホーンの作動を確認します。
エンジンルーム
次に車両をリフトアップして少しだけ浮かせ、その状態でエンジンルームの点検を行いです。
エアクリーナー・スパークプラグ・ブレーキフルード・冷却水漏れ・各種オイルの漏れなどの指定された点検項目を実施します。
タイヤ・足回り・下回り
そこまで見たら車両を上昇させてタイヤを外します。
タイヤの単体点検を行い、溝がなかったりひび割れが酷い場合・パンクしているなどユーザーに伝えるべきポイントがあれば後程説明します。
タイヤを取り外した状態でタイヤ横から見て4輪のブレーキ・サスペンション・ブーツ関係の点検を行います。
特に、ブレーキは分解して内部に異常がないか?ブレーキパッド・ブレーキシューの残量を確認します。
その状態で車両下側に入り、各種オイル漏れやブーツの破れ・燃料漏れの点検を行います。
オイル交換等の依頼を受けていればこの時に同時に行います。
ここまでが事業所で行われる法定12カ月点検の一連の流れです。
一連の作業が終われば担当した整備士と整備主任者によって点検記録簿が作成されます。
最後に点検結果がユーザーに伝えられ、部品交換するのであれば整備が行われて完了です。
法定12カ月点検と新車保証の関係
新車から5年以上経過した中古車にお乗りの場合は関連性がありませんが、新車登録後5年以内の自動車を所有されているのであれば注意が必要です。
新車登録後、新車1カ月点検・新車6カ月点検を受けることはもちろんですが、その後の法定点検を毎年受けなければ万が一不具合が見つかっても保証整備の対象となりません。
これは各自動車メーカーで規定が設けられており、基本的な考え方としては車両コンディションを維持されていない車両に関しては不具合の原因がメンテナンス不足も要因として指摘されています。
そのため、法定点検が実施されていない場合は保証整備の条件から除外されてしまいますので注意が必要です。
また、新車登録後5年以内の中古車を購入する際にも法定点検の実施が必要です。
新車登録5年以内の自動車を中古車として引き継いだ場合、保証継承の手続きをすることで保証を受け継ぐことができます。
この時に法定12カ月点検を行い、引き続き保証をすることが妥当な自動車かどうかをディーラーで判断します。
点検項目がベースとなっていますが、車両全体をトータルで点検を行って総合的に保証を継承するべきか決定されます。
まとめ
- 新車登録後法定点検が実施されていない場合は、保証整備の条件から除外される可能性もあるためできるだけ受けておきたい
- 車検と違って法的強制力がないが安全に一般公道を走行するために実施しておきたい
車検と違って法的強制力がないため、日本国内の自動車保有台数に比べて点検実績が低くなって
います。
しかし、「法定」と付くのには訳があり、自動車のコンディションを維持するためにも点検は行うべきです。
保証整備にも関連していますので、新車登録5年以内の自動車は大損をしてしまう可能性さえあります。
これを機会に法定点検を受けられてはどうでしょうか。