自動車のエンジンは私達が頑張らなくても、1トン以上の車体と乗員を軽々動かしています。
エンジンの他にも車両を止めるためのブレーキも、エンジンから負圧を受けて倍力装置という装置を使って、足一本で車両を停止させることができます。
パワーステアリングは両腕二本、片手でも軽々ハンドルを切ることができます。
今回はこのパワーステアリングでも油圧で動作する部分、パワステポンプについて説明したいと思います。
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パワステポンプの交換時期は?
- 特に交換時期は定められていない
- 作動油が漏れている・異音が生じた場合は、何かしら不具合を起こしているサインの可能性がある
パワステポンプ単体はメンテナンスフリーで、特に交換時期は定められていません。
パワステ機構が起因で発生する不具合には大きく2つに分けられ、作動油が漏れるということと、異音です。
このいずれかに該当する場合はパワステポンプの交換時期でしょう。
ただし異音=パワステポンプ交換とはなりません。
ハンドルを操作した場合のみキュルキュルという音がする場合は、パワステポンプのベルトが劣化している可能性があります。
明らかにヒビが入っているような場合は交換です。
また、指でベルトを押した時に大きくたわむ場合は緩い可能性がありますので、調整しましょう。
キュルキュルではなく、シャーという音がする場合はパワステポンプ本体の不良が考えられます。
パワステポンプの交換費用は?
- パワステポンプ本体は20,000円から高いものでは100,000円近くするものもある(リビルト部品であれば価格を抑えることができる)
- 車種によって幅があるため、事前に見積もりを依頼しましょう
パワステ交換の場合、車種によってはかなり奥に存在していて周辺の部品も取り外すことも考えられます。
特に大排気量の乗用車ようなエンジンルームが混雑している車両の場合は、工賃が高くなる傾向にあります。
パワステポンプ本体は車種により幅がありますが、20,000円から高いものでは100,000円近くするものもあるようです。
リビルド部品であればかなり値段を抑えることができます。
これも車種によりますが、大体新品部品の7割程度がリビルド部品の相場となっているようです。
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DIYでも交換できる?
- 自動車の知識や工具が準備できている方は可能であるが、操舵に直接影響する部分のため、少しでも不安を感じる場合はディーラーや整備工場に依頼する
車いじりが趣味である程度自動車の知識や工具が準備できている方は、可能だと思います。
ただし、操舵に直接影響する部分なので、不安を感じる場合は工場にお願いすることをお勧めします。
実際の交換作業は、オイルを抜いてポンプを外し、配管をつないでエア抜きを実施という流れになります。
以下に交換手順を軽く説明します。
①パワステオイルを抜き取る
スポイトや注射器などを使用して、パワステのリザーブタンクからオイルを抜き取ります。
完全には抜き取ることはできませんが、できるだけ抜き取ってください。
②周辺部品を取り外す
パワステポンプに直接アクセスできる車種であれば、この作業は不要です。
しかし、排気量の大きいエンジンルームに余裕がない車両などはパワステポンプにアクセスできるように周辺の部品を取り外します。
車種によっては、スロットルボディなどを外します。
その際は冷却水の流路を切り離すことになりますので、冷却水のエア抜きもしっかり行います。
③パワステポンプ駆動用のベルトを外す
パワステポンプのプーリーを回すために、エンジンのクランクシャフトからベルトで動力を伝えています。
このベルトを取り外します。
車種によっては、パワステポンプ専用のベルトの場合もありますし、サーペンタインといってオルタネータなどの他の補器類と共用しているものがあります。
せっかく取り外すので、この際にベルトの交換も行っておきたいところです。
④ポンプ本体を取り外す
ポンプ本体を固定しているボルトを外して、本体をフリーにします。
車種によってはホースに余裕がある場合があります。
その場合は、ポンプ本体をリザーブタンクより上に持ってきます。
そうすることによってホースに残っているオイルを抜き取ることが可能です。
ホースの劣化が進んでいる場合は、固くなっていて動かすことが困難な場合があります。
それでも無理くり動かしてしまうと、ホースがさけてしまう場合もありますので、できるだけ慎重に行います。
④ホース類を外す
パワステポンプから、ステアリングラックへと作動油を送るホース類を取り外します。
ゴムを使っている部分もありパワステに不具合がある場合、ホースも劣化が進んでいるはずです。
漏れがなくても余裕があるのであれば、ホースも交換することをお勧めします。
ここまでの作業でポンプの取り外しが終了です。
⑤新しいポンプにホース類を取り付ける。
フリーの状態で付けた方が楽な場合は、ここで付けてしまいます。
⑥パワステ本体を車両に取り付ける。
新品のポンプを車両に取り付けます。
ポンプを付けると隠れてしまう部分を取り付け前に清掃しておくと、気分もすっきりしていいでしょう。
また漏れがあった場合、間違いなく汚れています。
くぼみなどに溜まったオイルが流れてマフラーにかかってしまうと大量の白煙が発生し、臭いもします。
臭いは車内でも感じることがありますから、しっかり清掃しておきましょう。
⑦パワステオイルを給油する
リザーブタンクからパワステオイルを給油します。
漏斗などを使用して、できるだけ周辺を汚さないように給油しましょう。
⑧パワステ駆動用のベルトを取り付ける
ベルトを取り付けます。
適切な張力で張りましょう。
緩すぎるとキュルキュルという異音が発生します。
またビンビンに張りすぎてしまうとパワステポンプのみならず、サーペンタインの場合は他の補器類のベアリングに余計な負荷をかけてしまいます。
⑨エア抜きをする
前輪をジャッキアップした状態で、左右に末切りをします。
回数はリザーブタンクの様子を見て、ある程度エアが出てこなくなるまで行います。
量をこまめに確認し、つぎ足すようにしましょう。
その後エンジンを掛け、同様に末切りします。
エンジンを掛けることにより、ポンプが駆動され油路に残った細かいエアを抜き出すことができます。
以上が、大まかな交換手順となります。
文章で書くと簡単そうに見えますが、エアが抜けにくい車両や、そもそもポンプにたどり着くまで膨大な部品を外す必要がある車両もあります。
しかし、時間が掛かってもしっかり要所を抑えて作業すれば、難しい作業ではありません。
ボルト類の締め付けトルクはしっかり管理することも重要です。
パワーステアリングについて
- 昔、パワーステアリングはオプション装備であったり、軽自動車などには付いていないものだった
ここ2、30年で当然の装備となっているパワーステアリングですが、以前はオプション装備だったり軽自動車などには付いていないものでした。
大きく分けると種類は2つあり、油圧で動作するものと、電動で動作するものに分けることができます。
車両のエンジンが掛かっていれば車両が停車していてもどれだけ末切り(左右いずれかに回して、止まるところから反対方向に同様に回すこと)を軽々ハンドルを操舵することができますが、エンジンが止まっている状態でハンドルを末切りすると、男性の方でもかなり苦労します。
これだけの負荷を吸収しているパワーステアリングにはかなりの負荷が掛かっています。
油圧動作の仕組み
左右のタイヤをつなぐ1本の軸にT字に交わるもう1本の軸があり、その軸がハンドルへ繋がっています。
ハンドルの操舵力は、T字の部分で回転を往復運動に変換して、タイヤを操舵しています。
このT字に交わる部分が、ステアリングギヤボックスといいます。
乗用車の場合、その機構の名称からステアリングラックなどと呼ばれることもあります。
そのステアリングラック内に油圧室があり、左右どちらの部屋に油圧をかけるかで操舵方向にアシストします。
注射器を想像するとわかりやすいかと思います。
そしてこの油圧を発生させる部分がパワーステアリングポンプ、略してパワステポンプというものになります。
エンジンのクランクシャフトからベルトを介して駆動されています。
作動油にはパワーステアリング専用のオイルが用いられます。
最後に
- パワステポンプ単体はメンテナンスフリーで、特に交換時期は定められていない(作動油が漏れていたり異音がする場合は交換時期の可能性がある)
- パワステポンプ本体は車種により幅があり、20,000円から高いものでは100,000円近くするものもある(交換する際はまず見積もりを依頼しましょう)
- リビルト部品であれば値段をかなり抑えることができる
パワステポンプの不具合は異音やオイル漏れであると先にも書きました。
漏れは当然、経年劣化でゴム類やシールが劣化してきて発生します。
異音の場合はプーリーのベアリングがダメになっている場合や、内部のポンプ機構がダメになっていることが考えられます。
定期的なオイル交換でポンプ内部の不具合を防ぐことができます。
ベルトのメンテナンスも同様です。
普段から愛着をもって点検してあげましょう。